父親と母親

父親と母親

 

そして父になる、という映画があります。

内容の話ではないのですが「父親になる」というのはまさにこのタイトルの言い回しの通りだと思っています。

「母親一年生だからわからないことあったり試行錯誤あるよね」というフレーズに触れるとそう思う、と共感できるのですが、父親はいきなり一年生になれないと常々思っています。なんやかんやあって「そして父になる」のが父親だと思います。

 

女性は子供が欲しいと思っていて、妊娠がわかった時からフルスロットルで走り続けるF1のようで(車好きなのでこんな例えです)一方で男性の方はパートナーの女性から妊娠を告げられ、嬉しいとか良かったとか思ってもまだ具体的にできることは多くなく、重いつわりもなければ食事の制限もなく酒もタバコも制限付くかもしれませんが続けられて、時間の経過と共にお腹を中心に体が重くなるわけではありません。この状態では女性がF1で走り始めたことなど気づきもしません。

やや脱線します。父親教室に参加した際に妊婦を疑似体験できるお腹側にかけるリュックのようなものをした時に感じたのですが、あの妊婦のようになる感覚は実際にやらないとわからない、やってよかったとも思いました。

そもそもあのリュックのようなものも、その日に体験したからパートナーの苦労が一瞬疑似体験でき僅かな共感を得られるだけですが、妊娠とは長い期間をその変化と共に過ごすわけなのであれで”なんかやった感”を出して「マジ大変だなこれ」と感じたとしてもそれはF1とは程遠いちょっとしたスポーツカーにパートナーの運転で助手席に乗るようなものです。その程度のないよりマシな経験です。でも男性はやっとくべきです。

そんな男性たちが上述のフルスロットルなF1レーサーであるパートナーに追いつくことはかなり至難の業です。

男性たちはそもそもF1に乗っていません。どんなにやる気のある人でも精々スポーツカーです。人によっては軽自動車で、でも意気揚々と「俺は育児するぜ」とか言ってるかもしれません。そのこと自体の善し悪しはいずれにしろ、軽自動車に乗っていようとも少しずつステップアップして妻に追いついていくように速度をあげたり、ランク上げてスポーツカーに乗り換えられるように努力するのが理想的な父親だと思います。

パートナーはコースをぶっちぎりで走っているので男性は何度も周回遅れになるでしょう、メカトラブルでうまく速度上げられずにパートナーに怒られたりするでしょう、なんかいろいろできるようになったぜ、と思ったらまた新たなコースに挑戦、なんてこともあるでしょう。それでもそれは先を走ってるパートナーも一緒です。

 

でも、それでも僕がいち男性として世の乳幼児の母親にお伝えしたいのは、男性がやる気を見せて、少なくともそばにいるあなたから見てやる気出してるなと感じられるフシがあるなら、多少は見守る時間を持ってあげてほしいという事です。

Twitterか何かで見かけたことありますが、新米パパは学生バイトだと思え、指示出してその通りに動ければよし、ダメでも根気よく!みたいな話だったと思いますが、これは多少乱暴ですが、気持ちの持ち方としてはすごく共感できる例えです。

 

雑誌やメディアは「今やってる人」を「イクメン」などとレッテル貼って紹介してますが、彼らも最初からスーパーカーのレーサーだったでしょうか。

彼らは例えばオムツのテープが甘くてうんちが漏れてるのに気づかず椅子に座らせて被害を拡大させたことはないでしょうか。

なんで出産もした上に子供も男性も面倒見なきゃいけないのよ、やってらんない。はい、わかります。それでも相手と一緒に子供を育てていくと決めたなら、今は頼りなくともあなたに追いつこうと車に乗り込んであなたの背中を追いかけようとしているなら、大目に見てあげる時間を作ってあげてほしいな、と思う、というお話です。